前回は、怒りをやり過ごす方法と、怒るべき場面について学んできました。
今回は怒るべき場面での怒りの捉え方と、相手の立場に立つことの重要性についてお話ししていきます。
怒りは、相手に改善をお願いする行為
まず、怒りの捉え方を変えましょう。
怒りは、相手に改善をお願いする行為だと定義することができます。
つまり、怒るときに「ここを改善して欲しいな」と、提案することが大切なのです。
例えば、子どもが決まりを守らなかったり、部下が何度も同じミスをした際に、間違いを指摘するだけではなく、改善案をしっかりと伝えるようにましょう。
例えば仕事の場面でミスが発生してしまった場合を中心に考えてみましょう。
改善されなければ、同じ事の繰り返し
きちんと改善案を提案できなければ、相手は何度も同じ行動を起こしてしまうでしょう。
その度に相手に対してイライラしてるだけでは、問題は一向に解決されません。
同じ間違いを何度もしてしまうということは、それが間違いと気づいていなかったり、問題の大きさが分かっていないケースがほとんどです。
怒りを我慢する事は逆効果の場合も
ですから、もしそのような場面に遭遇したら、怒りを我慢する方法をとっては逆効果になります。
我慢してしまうと、いつまでたってもこちらの不満はたまる一方で、相手の行動は変わらないままです。
自分のためにも、相手のためにも、怒らなければいけない時があるのです。
相手に伝わりやすい言葉で提案する

そのため、怒るときは相手が何を分かっていないのかを把握した上で、
相手に伝わりやすい言葉選びや口調、表情をする工夫をしましょう。
一方的な感情を伝えてはいけません。
例えば「なんでいつもこのミスをするんだ!何度も言ってるよね!ちゃんと考えればわかるだろ!」というような伝え方は、こちらの都合ばかりを主張しています。
相手が何度も同じミスをしてしまうのは、改善策が分からないからですよね。
考えても分からないから、同じミスをしてしまうのです。
このような怒られ方をされたら、萎縮してしまい、相手の自己肯定感は下がってしまいます。
感情任せに怒ることは、生産性を下げてしまう
「何か助言があればいいのに。」と相手が思っていたらまだ良い方ですが、
このような怒り方を続けていくと、ミスは減らず、ただ怒られているだけなので
相手の方は、
「こんなに頑張っているのに、なんでいつも同じミスをしてしまうんだろう。何が分からないのかも分からないし。どうせ誰も私の話なんて聞いてくれないんだ。」
というような思考に陥ってしまいます。
職場や会社でこうなると、仕事の生産性が下がるだけで無く、人間関係が悪化する要因にもなり得ます。
相手の状況を理解することが、問題解決の第一歩
このように、感情をぶつけたところで問題解決しなければ、
良い怒り方とはいえません。
上手に怒るためには、相手の立場に立って考える習慣をつけることが非常に大切です。
相手の立場に立つというのは、自分がその人の状況だったら、どんな事をするか考えることです。
その状況を把握するために「相手が何をどこまで理解しているか」をリサーチする必要があります。
怒りの感情が生まれて、相手に改善して欲しい事があるのなら、
まずは、その改善して欲しいことを提案する前に、
どうすれば相手が改善してくれるかを考えます。
この時に大切にして欲しいのは、自分のものさしや価値観の基準だけで考えないことです。
自分のものさしで判断せず、相手を理解する
相手の立場に立って考える事と、自分のものさしで考える事は全くの別物です。
「私だったらこうする」という一方的な主張は、
相手にとって必ずしも必要な言葉にはならないからです。
その言葉を受けた相手には
「あなたはそう言ってるけど、わたしにはそれはできない。」
と思われてしまう可能性があります。
なぜなら、今まで生きてきた環境も違えば、学ぶことも人それぞれに異なるからです。
ミスをして損失を被らない場面、例えばたわいもない会話や雑談などの状況であればそれでも良いのですが、
仕事などの失敗が経済的な損失などに繋がるシーンではそうはいきませんよね。
同じ目標を達成するために、相手に必ず改善してもらう必要がある場面では、相手に伝わりやすい言葉がけが必ず必要になります。
まとめ
今回は怒らなければいけない場面で怒ることの大切さを解説しました。
怒るというと、感情的になって、攻撃するようなイメージを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、
感情任せに怒ることは、自分の為にもならないし、相手のためにもなりません。
そのため、どうしても改善して欲しいところがあったら、
相手の立場に立って、相手の状況を理解した上で
「相手を打ち負かす」「相手をしたがわせる」のではなく
「相手に成長してもらう」「相手に課題を解決してもらう」ために、
一緒になって改善策を考えることが有効です。
次の回では、具体的にどう改善案を提案していけば良いのかをお伝えしていきます。