
前回は怒りの感情が生まれるしくみを、脳科学的な観点から学びました。
今回はまず最初に、前回出てきた「前頭葉」の特性をみていきます。
そしてそれを基に、慢性化したストレスが及す弊害について学んでいきましょう。
人間は霊長類の中で最も、前頭葉(学習する能力)が発達している
前頭葉(大脳皮質前頭前野)は、起こった出来事に対し、行動の内容を明らかにし、実行に結びつける働きをします。
つまり、物事を考えたり、学習したり、計画を立てる部位です。
この前頭葉は、霊長類の中で人間がもっとも発達しているといわれています。
そのため、人間は他の動物よりも、物事を考えたり計画を立てる認知機能が発達しているのです。
前頭葉の認知機能は、思い込み次第で良くも悪くもなる
前頭葉の認知機能は、思い込み次第で良い方向にも悪い方向にも転びます。
日常生活でおこる出来事は、すべて自分の思い通りになることはありません。
そこで、私たちは発達した認知機能を使って、問題やストレスを解決します。
しかし、考えが極端に偏っていたり、視野が狭かったりすると、
問題解決ができず、結果的にストレスとなってしまいます。
過度なストレスは、自己肯定感を低くする
過度なストレスを抱えてしまうと、認知機能がコントロール不能になります。
冷静に物事を考えられなくなります。そして「私が悪い」「私はだめな人間だ」「もう何をしても意味がない」といった、自分を認められない、つまり自己肯定感が低くなる思考に陥ってしまいます。
「自分はだめな人間だ」というように自分を責める考えを続けると、
不安や怒りは日に日に増幅してしまいます。
それとは反対に幸福感は、日に日に減退していきます。
そんな日々を過ごしていけば、不安や怒りが増し、自律神経が乱れ、体調を崩してしまうのです。
そして慢性化したストレスを抱えてしまいます。
慢性化したストレスは、心だけでなく身体も破壊する

慢性化したストレスは、心に支障をきたします。
そして、うつ、パニック障害、不安障害などのメンタルヘルス疾患(精神的疾患)を引き起こしてしまうのです。
この心の障害がさらに慢性化すると、身体面の疾患(心身症)に至ることもあります。
アトピー性皮膚炎、狭心症、糖尿病、気管支喘息など、様々な身体の病が、実は心の状態と密接に関わっています。
ストレスを抱えたままでは、存分にパフォーマンスを発揮できない
「結果を出したい」と思い、目標達成のために努力していても、思わぬ出来事にぶつかるものです。
想定していたことと違ったり、上手くいきそうな計画が崩れたりしたとき、ストレスが生まれてしまいます。
そのストレスを小さいうちに上手く処理しないと、どんどん目標達成から遠のいてしまい、更なるストレスを抱えることになってしまいます。
身体や心に支障をきたさないように、ストレスは早めに処理することが大切です。
ストレスを早めに処理すると、高パフォーマンスを発揮できるだけでなく、
楽しく活き活きと、幸福感に満ちた生活を送ることができるのです。
ストレスを感じたら、息抜きや自分の好きなことをする時間を持つなどして、
程度に力を抜くようにしていきましょう。
まとめ
今回は学習する知能を司る前頭葉の特性と、慢性化したストレスの弊害について学びました。
ネガティブ思考の時間をできるだけ短くすることで、ストレスを慢性化させずに済みます。
ストレスを減らす工夫をしたり、正しい対処をすることで心身を良好に保つことを心がけましょう。