Lesson3-1.アンガーバランス・マネジメントの意味

前回は、怒りの感情には男女差があることを学びました。
今回からのLesson3では、アンガーバランス・マネジメントとはどのようなものか、目的や起源について学んでいきましょう。

当講座のアンガーバランス・マネジメントは、アメリカで発祥のアンガーマネジメントを基礎的な考え方としています。

アンガーバランスマネジメントとは

アンガーマネジメントの意味は、「怒りの感情をコントロールする能力」です。英語で「アンガー」は怒り、「マネジメント」は管理するという意味であり、
このアンガーバランス・マネジメントは、近年注目を集めているスキルです。

現代社会で必須のスキル

アンガーバランスマネジメントを身につけなければ、周りに攻撃的になったり、威圧的になったりしてしまい、トラブルのもとになります。
特に、職場や学校などの多様な人間関係が築かれる場で、このスキルを身につければ、人間関係で生じるストレスを減らすことができます

また、家族のような狭い人間関係においても、
より快適に人間関係を築けるようになるでしょう。

1970年代、アメリカで発祥

アンガーマネジメントの生まれは1970年代のアメリカです。
当時、怒りの感情と上手に向き合うスキルとして有名になりました。
怒りの感情を我慢するのではなく、怒るべき時に怒り、怒らなくても良いときは怒らないという区別がされていました。

近年、日本でも注目されている

最近の日本でも、企業の研修でアンガーマネジメントを取り入れる企業が増えているなど、この考え方は注目されつつあります。

その背景には、働き方改革にともない、より良い職場環境づくりに力を入れるようになったからということがあります。

職場のセクハラやパワハラ、学校のいじめなどの原因となる、人間関係のストレスを減らし、人間関係を良好にするために、アンガーマネジメントが有効だとされています。

職場の相談は「いじめ・嫌がらせ」がトップ

実際、厚生労働省が行った
「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」の報告書によると、
都道府県労働局の職場のいじめ・嫌がらせに関する相談件数は年々増加傾向にあり、
2012年以降はすべての相談のなかでトップになりました。

また、パワハラとまではいかなくても、
職場のちょっとした人間関係で発生するストレスを減らし、
円滑な人間関係を形成するため、アンガーマネジメントが注目されています。

6割の人が、仕事にストレスを感じている

厚生労働省の平成29(2017)年、労働安全衛生調査の報告書によれば、
仕事に対して強いストレスを感じていると答えた人の割合は約60%程度で、
そのなかで職場の人間関係の問題でストレスを感じるとした方は30%を超えています。

上司との会話、同僚との付き合い、顧客との人間関係がストレスの原因になっているようです。

アンガーバランスマネジメントの手法は、このような仕事上のちょっとしたストレスを減らし、生産性の高い職場を実現するために、注目されているのです。

子どもの精神障害発症率も年々増加

さらに、嫌がらせやいじめ、暴行を受けたことで発症した精神障害の労災認定件数も増加傾向にあるようです。

子どもの世界でも、暴力行為が年々増加傾向にあるため、アンガーマネジメントを教育にいかそうと検討されています。