
前回は、アンガーバランス・マネジメントの大まかな意味や起源を学びました。
今回はアンガーバランス・マネジメントが役立つ場面や目的を学んでいきましょう。
まずは怒ることにはデメリットばかりではなく、メリットもあるという切り口から話を進めていきます。
怒ることのデメリット
まず怒ることのデメリットから見ていきましょう。
いつもイライラしてしまうと、冷静な判断ができなくなったり、気分が落ち込むようになってしまいます。
このような心の不調は、胃潰瘍やうつ、高血圧などの病気の原因となります。
免疫も落ち、通常の7倍身体にダメージを受けると言われています。
怒ることのメリット
一方、怒ることでのメリットもあります。
もともと怒りという感情は、動物の防衛本能から生まれたものです。
そのため、怒ることで真剣な気持ちを示すことができます。
それだけでなく、怒りや悔しい気持ちをバネに、モチベーションに繋げることで、良い結果を残すこともできます。
つまり、負の感情は現状に満足していない状態のため、
成長するエネルギーに転換できる可能性を持っているのです。
怒りの感情がアドレナリンを放出させ、高いパフォーマンスを発揮することができます。
このように、怒りの感情には良い面も悪い面もあります。
全く怒らないというわけではなく、怒りの感情を上手くコントロールし、使いこなしていくことが大切です。
怒りと上手に付き合うのが目的

誤解されやすいのですが、怒りの感情を伝えること自体は悪いことではありません。
物事の重要性を真剣に伝えるために、怒りの感情を伝えることも時には必要になります。
つまり、怒るべきときに怒る、怒るべきでないときは感情を抑えることが大切です。
そして怒るときは、感情まかせに怒るのではなく、
客観的に事実を認識した上で筋を通して怒れるようになることが、
アンガーバランスマネジメントの目的です。
では、アンガーバランスマネジメントのスキルが身につくと、具体的にどんな恩恵が受けられるのか見ていきましょう。
アンガーバランスマネジメントの効果

アンガーバランスマネジメントを行うことで、大きく4つの効果を得ることができます。
- 傾聴できる:相手の話に耳を傾け、相手を理解しようとする姿勢を身につける
- 認知の変容:怒りやすかったり、イライラしやすい考え方を自覚した上で、ものごとの捉え方を変え、柔軟な思考を身につける
- ストレスのコントロール:怒りや不安の感情などのストレスが生まれたとき、心身の安定を保つ
- アサーティブコミュニケーション:自分の主張も他人の主張も尊重するコミニュケーション力を身につける
このように、怒りという強い感情をコントロールすることで、精神が安定し、
他者を尊重することができるのです。
アンガーバランスマネジメントが役立つシーン

アンガーバランスマネジメントは、以下のような人間関係全般で役立ちます。
- 教育:いじめや校内トラブルの対応、学生のカウンセリング、メンタルの教育、保護者講演会など、
- 会社:パワハラ・セクハラの防止、人間関係のトラブル対処、メンタルケア、仕事のパフォーマンス向上
- 家庭・地域コミュニティ:子育ての問題、親子間・夫婦間トラブル(家庭内暴力、関係性の悪化等)、市民講座など
- 医療・福祉:カウンセリング、職員研修(医師、看護師、カウンセラー等)
どの場面でも共通して言えることは、「怒ることがいけない」という考えで怒りの感情を抑え込むのではなく、
怒るべき時に怒り、怒るべきでないときはしっかりコントロールできるようになることが大切だということです。
人間関係を円滑にしたり、問題を解決するために、
アンガーバランス・マネジメントは場面問わず活かせる、汎用的なスキルだといえます。