
前回はアンガーマネジメントの歴史について学びました。
今回は、それらを基礎に活かしやすい形に進化したアンガーバランス・マネジメントが現代において必要とされる背景と、アンガーバランス・マネジメントを身につける事で得られる効果について学んでいきましょう。
現代では、多様な価値観が尊重されつつあります。
これによって価値観のずれが生じやすくなっており、
それが怒りの感情を生み出す原因になっているのです。
価値観のずれが怒りを生み出す
アンガーバランス・マネジメントが注目されている1つの理由として、価値観が多様化していることが挙げられます。
価値観の種類が増え、「これが正しい」「これは間違い」という万人共通の概念がなくなってきています。
そのため、多様な価値観のずれが意見の衝突を生み出すことにつながり、結果としてトラブルをまねくのです。
丁寧なコミュニケーションが求められる現代
例えば、企業でも部下の指導に悩む管理職が増えています。
以前までは、部下は部下、上司は上司、立場がはっきりしていたため、上司の言うことは絶対!などの風潮がありました。
しかし、今はそうはいきません。
まず、上司が部下に命令したり、感情をぶつけて叱ると、部下のモチベーションを下げ、生産性が落ちてしまいます。
それだけでなく、パワハラとして訴えられてしまう危険性もはらんでいます。
このように、人間関係をより丁寧に進めていく必要があるため、
怒りの感情が生じたらその状況や相手の立場に立って、冷静に適切な判断をするスキルが必要とされているのです。
アンガーバランス・マネジメントで得られる3つの効果

では、アンガーバランス・マネジメントを身につけることで得られる効果はどのようなものがあるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
人間関係や業務を円滑に進めることができる
怒りの感情が生じたとき、それを何も考えず相手にぶつけてしまうと、
その場の雰囲気が悪くなり、周囲が萎縮してしまいます。
それは、自分の評価を下げるだけで無く、仕事の生産性を下げたり、
人間関係がギスギスして快適に生活しづらくなってしまうなど、
自分自身にとっても悪影響をもたらします。
そのため、アンガーバランスマネジメントのスキルを身につけることで、
自他を尊重し、ストレスの少ない円滑なコミュニケーションが可能になります。
相手の立場に立ち、伝わりやすい言葉選びができるようになる
アンガーバランスマネジメントを身につける事で、自分の感情をコントロールするだけでなく、他者の気持ちに寄り添えるようになります。自分の気持ちを相手に適切な形で伝えることができます。
つまり、子育てにおけるしつけや、部下への指導、交渉などのあらゆる場面で
ポジティブなコミュニケーションが可能になるのです。
自他の価値観を尊重できる
現代にはさまざまな価値観が存在します。
1人1人が別の価値観をもっていますから、世の中に存在する全ての価値観を肯定することは難しいでしょう。
しかし、無理に肯定するのではなく、
「価値観は人それぞれ違う」ことを認めるだけで、価値観の違いによる怒りを感じにくくなります。
自分の価値観を尊重するだけでなく、他者の価値観を認められるようになるので、お互いが落ち着いて楽しくやりとりできるようになるでしょう。
まとめ
多様な価値観が生まれている現代においては、自分の気持ちを尊重する権利があると同時に、他人の意見も受け入れることが大切です。
多くの価値観が生まれれば、意見の違いも生まれてきます。
その時に相手の意見を受け入れられず衝突するのか、一意見として受け止め楽しめるのか、それはあなたの考え方次第です。
後者のようになるためには、自分の感情をコントロールしたり、相手の感情に理解を示す必要があります。
そのためにアンガーバランス・マネジメントが効果を発揮するのです。