Lesson5-1.REACHメソッド

前回は怒り方の具体的なコツや注意点について学びました。

今回からのLesson5では、怒りを消す選択と習慣についてお話ししていきます。その中でも今回はアメリカの心理学者エベレット・ワーシントンが生み出した「REACHメソッド」についてお話していきます。

マイナス感情の我慢は、害

ネガティブな感情が生じたときに、じっと我慢するだけではいつか感情が爆発してしまい、トラブルを起こしてしまったり、心身疾患を引き起こす可能性があります。

しかし、この方法を使えば、マイナスの感情をスムーズに受け流すスキルを身につけることができます。
嫌なことがあっても、多角的な視点で捉え、自分の成長に繋げることもできます。
非常に大切な内容となっていますので、しっかり学んでいきましょう。

まずは「REACHメソッド」の意味をご紹介します。

「REACHメソッド」とは

REACHは、以下の頭文字をとって名付けられました。

  • Recall・・・思い起こす
  • Emphasize・・・強調する
  • Altruistic Gift・・・視点を改める
  • Commit・・・許し、手放す
  • Hold・・・保持する

では、早速REACHメソッドの手順を見ていきましょう。

REACHメソッドの手順

最初のうちは、手元に紙とペンを準備すると良いです。

①Recall(思い起こす)

相手に対して、イライラしたり、許せないと感じた出来事を思い起こしましょう。その出来事の事実を客観的に書くことがポイントです。そして、その出来事によって、どんな感情になったかも書きましょう。この時に、自分や相手を責めることは書かないように気をつけて下さい。

②Emphasize(強調する)

相手があなたを傷つける言動をなぜとったのか、相手目線に立って書いてみましょう。人の攻撃的な発言は、こちら側に落ち度があるかは重要でなく、相手の感情コントロールする力が弱いことに気づくと思います。

③Altruistic Gift(視点を改める)

一旦、起こった出来事から離れて、視点を変えましょう。まず、あなたが他の誰かに攻撃的な発言をしてしまった場面を想像します。そして、その相手から許して貰えたとき、どんな感情になったかを想像して書き出してみましょう。そうすることで、誰かを許すことが、相手にとっても自分にとっても利益を生むことだと気づけます。

④ Commit(許し、手放す)

許せない人や、恨みの気持ちは、手放しましょう。その時に、①と②で書き出したことを見直す事で、嫌な相手にこだわることが無意味であり、むなしいことに気づくでしょう。人を傷つけたり、不愉快にさせる人の人格を許し「嫌な人ほど、お元気で。さようなら」という気持ちで、あなたのネガティブな感情を手放しましょう。

⑤Hold(保持する)

④までのステップを踏んで、あなたが嫌な相手を許し、手放したとしても、あなたに対する態度は変わらないかもしれません。苛立ったり、怒りの感情が再び生まれることもあるでしょう。もし再び、ネガティブな感情が起こりそうになったら、以下の質問を自分にしてみましょう。

「ネガティブな感情を持ち続けることは、自分が本当にやりたいことなの?」

この質問をするだけで、モヤっとした気持ちはすっきりしていくでしょう。

今回はREACHメソッドについてお話ししました。
ネガティブな感情を我慢するのは、心身に害を及してしまう可能性もありますが、
相手に直接怒ることで逆効果になってしまう場面もあります。

そんなときはこのREACHメソッドを試してみて下さい。
ストレスの原因と向き合うことを積み重ねれば、感情に惑わされにくくなるだけでなく、
自己肯定感が高まり、自信に繋がることでしょう。

次回は、「快」「不快」ともう一つの感情である「ニュートラル」についてご紹介します。