Lesson5-2.ニュートラルな状態が心を癒やす①

前回はREACHメソッドについてお話ししました。
REACHメソッドは、ストレスの原因と向き合って、ネガティブな感情を受け流すスキルです。

今回は感情の「快」「不快」という視点から、できるだけネガティブにならないようにする方法を学んでいきましょう。

ストレスを抱えやすい現代

現代の暮らしにおいて、ストレスは切っても切り離せないものです。
急速に発展した情報化社会の中で、私たちが1日に得る情報は膨大になっています。

しかし、人間の機能はまだそこまで膨大な情報を処理するための耐性がついておらず、
一度に処理できる情報はごくわずかだと言われています。

そんな中で私たちは「自分にとって、ポジティブな影響を与える情報」を選び取っていかねばなりません。
気を抜くと、欲や怒りを刺激する情報に惑わされてネガティブになってしまう恐れもあるのです。

我慢を強いられる時代

また、仕事などの人間関係にも同様で、ストレスがついて回ります。
どうしても苦手な人と仕事をしなければならなかったり、
本当は残業したくないのにしなければならない状況など、
我慢を強いられストレスを抱えやすい状況が日々待ち受けています。

そこで今回は、ブッダの考え方をご紹介します。

ブッダは「何事にも、きっと方法はある」という考えのもと、
ストレスや不安、怒りなどのネガティブな感情を軽くし、
心を軽やかにしていく方法を生み出しました。

ネガティブな感情にはメリットがない

まず、ストレスや怒りが生じるのは、「ネガティブな感情」が最大の原因です。

ついカッとなったり、イライラした感情を繰り返したり、
落ち込んだり、不安になるなどといった、ネガティブな感情に支配されると、
物事に集中できなくなるだけでなく、やる気をも失ってしまうため、メリットがありません

自暴自棄に走ると健康を害する

ネガティブな感情が生じているとき、多くの人が「元気にならなきゃ」「気を紛らわして、楽しまなきゃ」と、考えます。

お酒を飲み愚痴をいってすっきりしたり、甘い物を大量に食べるなどといった話はよく聞きますよね。
しかし、この方法では健康を害してしまいますし、ストレスから目を背けているため、根本的な解決にはなりません。

ブッダの考えは上記と全く異なります。

ネガティブな感情を癒やすために、「感情の無い状態にもどる」ことなのです。

感情のない状態が、心を回復させる

感情の無い状態というのは、怒りやいらだち、喜びなどの感情すべてを取り除いた“ニュートラル”な心の状態です。

ブッダは感情には3種類しか存在しないと提唱しています。

①快・・・楽しい、嬉しい、うきうきする

②不快・・・怒り、不安、嫉妬

③快でも不快でもない・・・ニュートラルな状態

上記のように、快でも不快でもない状態というのが存在するのです。

この中のうち、人が追い求めるのは「快」の感情です。
喜びや、嬉しさ、楽しい気持ちになるために、人は行動します。

しかし「快」の感情は長続きせず、すぐ元に戻ってしまう特性があります。
そして現実に戻ったときに、「不快な反応」に目が行くようになります。

つまり人は「快を求めて生きているが、実際は不快に反応してばかり」なのです。
このように考えてしまうからこそ、感情に振り回されて生きているのです。


今回のページでは、感情は3種類存在することを学びました。
人は「快」「不快」ばかりに目が行ってしまいますが、
「ニュートラル」が中立的な感情として存在します。

まずはこのニュートラルな感情に気づくだけでも、日々ジェットコースターのように「快」「不快」を繰り返さなくなるでしょう。

次回は、このニュートラルな状態はどういったものか、さらに詳しく学んでいきましょう。