Lesson5-5.怒鳴らず、暴力を振るわない怒り

前回はニュートラルな状態になることで、精神的に安定することを学びました。

今回は、声を荒げたり、攻撃をしない怒り方である「パッシブアグレッシブ」について学んでいきましょう。

巧妙な怒り「パッシブアグレッシブ」

「パッシブアグレッシブ」という言葉を知っていますか。

日本語で訳すと、受動的攻撃性といい、怒りの一種です。
しかし、他人を怒鳴ったり、強く命令したりなどといった、
一般的に認識されている怒りとは少し意味合いが異なります。

声を荒げたり、暴力を振るうなどの行為は、人間関係を壊しかねません。
それは多くの人が理解していることです。

今回学ぶ「パッシブアグレッシブ」とは、このような怒り方とは違い、もっと巧妙な怒り方をする方法なのです。

間接的に攻撃する

たとえば、

  • 子どもが言うことを聞かないから、無視しよう
  • 上司が気に入らないから、頼まれていた仕事を忘れたふりをして困らせてやろう
  • こんな仕事したくないからミスしよう

このような、怒りの感情がもととなったネガティブな行動
「パッシブアグレッシブ」といい、人間関係を破壊していきます。

このような心理を、アドラー心理学では「負の注目」という言葉で表現しています。

注目されない場合、「負の注目」を得たくなる

人は正しいことをして注目されない場合、
「負の注目」を集めようとする傾向にあります。

例えば、怒鳴ったり、暴力を振るうなどといった怒りを直接的に表現できない場合に、
無視や嘘、妨害などによって間接的に相手を困らせる行為のことを指します。

正しいことをして褒められたり、評価されるなどといった、
「正の注目」を得ることが困難な場合に、人は「負の注目」を集めるようになるのです。

負の注目は、人が離れていく

負の注目を集めることはいい結果を生みません。
同情されたり、大切にされるどころか、人がどんどんと離れていきます

「私はこんなに不幸なのよ。誰か分かってよ。」と一方的に言われても面倒だと感じ、また理解もできないですよね。
これが直接的で無く、間接的なメッセージなら周囲は尚更気を使ってしまうでしょう。

一見、子どもじみた行為ですが、誰しも思い当たる節があるのではないでしょうか。

ネガティブな感情を吐き出す

なぜ負の注目を集めたくなってしまうかというと、ネガティブな感情を吐きだせない状況だからです。
その状況を改善するためには、怒りやモヤっとした感情が生じたら、ノートに書き出すようにしましょう。

この作業では、どんな場面で、何に対してイライラしたのか。
そしてその時に、自分はどんな行動をとったかを客観的に認識することが大切です。

自分を自分で認めることが大切

負の注目を得たくなる心理として、自分で自分を認めることができないから、
他人に認めて欲しいというものがあります。

しかし、自分の感情をコントロールできない人に対して、周囲の人は理解しようとは感じません。

自分の怒りの感情は、自分で客観的に認識し、正しく処理していく必要があります。

「今日のあのとき、私、不機嫌な態度とっちゃったかも」と感じたのなら、是非振り返ってみるように心がけましょう。