前回までのLesson7では、子育てで生じる怒り対策を学んでいきました。
今回からのセクションでは、職場でのイライラをコントロールする方法を学んでいきましょう。

仕事で抱えるイライラの種類
仕事中にイライラするのはどんな場面が多いでしょうか?
- 取引先やお客さんの都合に振り回されたとき
- 計画通りに仕事が進まないとき
- 部下の態度が納得できないものだったとき
- 上司に理不尽に叱られたとき
このように職場では、さまざまな場面でイライラの感情が湧き上がります。
イライラしてしまうとき、あなたはどのように対処していますか?
アンガーバランス・マネジメントの知識を仕事の場面でしっかりと生かすことができたなら、仕事のパフォーマンスはアップし、ビジネスを成功へ導くことができるでしょう。
ルールの大切さ
まず、以前にも学びましたが、「怒る」ことそのものはなんら悪いことではありません。
ただし、怒るのであれば正しい方法で怒ることがアンガーバランス・マネジメントでは大切になってきます。
怒る前にしっかりと理解しておきたいのが、立場の差による捉え方の違いです。
怒る側と怒られる側では、捉え方が全く異なってきます。
まず、怒る側ですが、基本的に人は怒っているとき、自分が正しいと思っていて、その正しいと思う価値観を相手に理解させようとします。
それでは、怒られている側はどうでしょうか。
実は、怒られている側はその相手からの価値観に対して必ず従わないといけないとは思っていません。
気に入らなければ、怒っている相手の要求する価値観に無理に従わないですし、表面上は従っているように見えても心の中では納得していないこともあります。
怒る前に、この価値観の差を理解しておきましょう。
基本的に、人は皆自分の価値観が一番正しいと考えています。
でもそれでは社会や仕事がたちゆきません。
みんなの統制を取るために存在するのがルールや法律なのです。
会社には会社のルール、部署ごとのルールや決まりがあるはずです。
まずはこの共通の価値観であるルールをチームや部署のみんなに認識させることが大切です。
怒られた側のダメージ
怒りの感情を出す前にもう一つしっかりと理解しておきたいのが、怒られた側の心理的ダメージです。
怒った側と怒られた側ではその後の心情やダメージも大きく異なります。
また、上司や部下といった立場によっても異なってくるのです。
ある調査によると、怒った側が上司で怒られた側が部下である場合、怒った・怒られたことを引きずる期間は圧倒的に部下の方が長く、中には1年以上引きずってしまう人もいます。
反対に、怒った側の上司は、そのことをあまり引きずらずに、1日経てばもう忘れてしまっていることもあるのです。
また、怒られた部下はその後の仕事への意欲がグッと下がってしまうことも多くあります。
上司はあまり気にせずに怒っても、それが部下の意欲を下げてしまい、部署全体の仕事の進みを悪くしてしまう可能性があるということをしっかりと理解しておくことが大切なのです。
上手な叱り方
ここまで、怒りの感情を出すことによる影響について学んできましたが、それらを踏まえても怒らないといけない場面は当然ですがやってきます。
そんなとき、どんなふうに叱れば相手にうまく伝わり、自分自身の怒りもスッキリさせることができるのでしょうか。
- 具体的に伝える
- 相手の気持ちを尊重する
うまく相手に叱るには、この2点をしっかりと守るようにしましょう。
まず、お互いの考え方のズレを解消するために、仕事を割り振るときなどはしっかりと具体的に指示しましょう。
時間や個数だけではなく、相手に伝わるような言い方を心がけるようにします。
曖昧な指示だと、相手も自分が正しいと思う価値観で動いてしまい、その結果期待されていた内容と違ったことをしてしまうことで叱られてしまいます。
さらに、相手の立場を考慮して、気持ちを尊重することも大切です。
相手が分かり易い語彙や話し方を用いて伝えることに心掛け、逆に相手の行動をただ批判するような言い方は避けましょう。
いかがでしたか。
まずは怒りの感情を表に出す前に踏まえておきたいポイントを学びました。
怒るということは悪いことではないのですが、一歩間違えると悪影響を及ぼしてしまいます。
このページで学んだポイントをしっかりと心に留めて怒るようにしましょう。
次のページからは具体的な事例を踏まえて説明していきます。