Lesson8-2.事例:部下へのイライラ

今回は、部下に対してイライラする場合の対策を考えてみましょう。

例えば、あなたが上司で、部下が言われたことしかしない、受け身な姿勢であることにイライラしていると想定します。

このような状況にあなたはなぜイライラしてしまうのでしょうか。
「何も言わなくても、自主的に仕事すべき」という価値観を相手にわかって欲しいという感情が隠れていることが原因です。

他者の至らない点の原因を探らない

このような場面で「どうして部下は、自分で動こうとしないんだ」と原因を探ってもあまり意味はありません。探り続けても明確な答えが見つからず、モヤモヤは増すばかりです。
それよりもむしろ、「どうしたら部下が自発的に仕事をしてくれるようになるか」という、解決することに焦点を当てて考えた方が建設的です。

前者は「今の問題」ばかりに目を向けていますが、後者は「これからの解決」に目を向けています。今の問題や原因に目を向けた方が良いときもありますが、それは、葉っぱが溝に詰まって水が流れないなど、明確な原因が分かれば問題が解決するケースです。そういった単純な問題の場合は、原因を考えるべきです。

しかし、人の気持ちには正解はありません。そのため、上手くいかない原因を考え続けたところで、はっきりとした正解を導くことはできません。

「これからの解決」に力を注ぐ

したがって、このような場面では「これからの解決」に向けて力を注ぎましょう。
例えば、部下たち1人1人に、それぞれの状況や、これからのキャリア、能力や希望をヒアリングし、仕事の進め方や期限などを明確に決めることが大切です。

自分の価値観を押しつけることは簡単ですが、それでは相手は言うことを聞かない、聞いたとしても形だけになります。自分も相手も不快な気持ちになるだけでなく、成長もできません。もちろん会社や部署も発展しません。

そのため、まずは相手の立場に立って状況を理解し、そこから改善することが大切です。

暗黙の了解を押しつけない

また、「察して分かるでしょ」「いちいち言わせないで」などといった暗黙の了解を押しつける行為は、考え方のずれを生じさせるだけでなく、溝が深くなり関係を悪化させてしまいます
これでは疑問点があっても「また同じ事を言われる」と感じて、質問できなくなってしまい、部下はミスを増やし、怒られ、関係は悪化してしまいます。

すなわち、自分の価値観を押しつけるのではなく、「なにで困っているのか」「どこまではできて、どこからが難しいのか」といった、部下の状況に親身になってあげることが大切です。

次回は、お客様と接する中でのイライラを解消する方法について学んでいきましょう。