Lesson8-4.事例:お客様から受ける怒りの感情

前回のページでは、部下や上司に対するイライラの対処法を学びました。

仕事でイライラしてしまう状況は、同僚に対してや職場内でも多いと思いますが、
今回は、お客様から怒りの感情をぶつけられた時にどのように対処すれば良いのかを学んでいきましょう。

接客業では特に、お客様からの怒りに困惑する状況がしばしば発生します。

お客様に対して失礼な態度や行動をしてしまった時はもちろん、
こちらとしては怒らせたつもりはなくても、お客様の逆鱗に触れてしまうこともあるのです。

こういった時、お客様はどのように考えているのか、何に対して怒っている可能性があるのかを知っておくことで、
スムーズに相手からのイライラに対処することができます。

お客様の心情

お客様は従業員に対して、どのようにされると怒ってしまうのでしょうか。

まず、お客様は従業員よりも自分自身の立場が上だと考えていることが多いです。
そのため、従業員の配慮が欠けていたり、それによって自分自身のプライドが傷つけられたりすると怒りの感情を抱きます。

この時に大切なことは、従業員がそのつもりはなくても、お客様がどう感じるのかが重要であるということです。


例えば、お客様が「この間買ったこの商品がまた欲しいのだけど」と自店舗にはない商品を問い合わせてきた場合を考えてみます。

この時、自店舗には置いていないから仕方がないとはいえ、お断りの対応時には伝え方に気をつける必要があります。

「そちらのアイテムは当店には置いておりません。」

このような伝え方は従業員にとっては正しい事実ですが、このまま伝えてしまうとお客様は自分が間違えていると言われたように感じ、プライドが傷ついてしまいます。

例えば、
「こちらのアイテムですね。確かに似たようなものはあるのですが、あいにく当店ではお取り扱いしておりませんで…」

初めから自店舗にない商品だとわかっていても、その商品を一度探す素振りをしてからこのように対応するなどして、
お客様が間違えているという印象を強く与えないようにすることが相手をイライラさせないための大切なポイントです。

お客様のタイプ

怒りの感情をぶつけてくるお客様には以下の3つのタイプがあります。

  • 八つ当たりタイプ
  • 問題提起タイプ
  • 特別扱いタイプ

八つ当たりタイプ

このタイプのお客様はとにかく自分自身のストレス解消のためにクレームを言ってきます。
賞味期限が切れていた、値段が間違えていた、など理由をつけて言ってきますが、それらはただのきっかけにしか過ぎず、
とにかく文句をたくさん言うことで従業員を平伏させ、優越感を感じています。

このようなタイプのお客様の怒りに対応するにはまず、
クレームを言ってくださったことに対するお礼の意を述べることが大切です。

「この度は貴重なご意見を賜り、誠にありがとうございます」

このようにまずはお礼を述べるようにしましょう。

その後は冷静な対応を心がけます。
相手が激しく激昂したり、言いがかりをつけてきても動じてはいけません。
冷静に個人情報を聞くなどして対処しましょう。
個人情報を聞くことで、八つ当たりだけしたいタイプの人は警戒して諦める場合もあります。

「どうしてくれるんだ!」「責任を取れ!」などの要求がああった場合でも、
レシートなどの証拠を冷静にいただいたり、
「上司に相談します。」など、うろたえずに冷静に対応するようにしましょう。

問題提起タイプ

このタイプのお客様は、店や会社のサービスや商品に対して問題を指摘しつつお怒りになります。

その指摘が的確である場合、会社や店にとってその指摘箇所が改善すべき大切なポイントであることが多くあります。
ですので、このようなお客様のお怒りはしっかりと向き合い、解決していくことが大切です。

前述のただ言いがかりをつけたいタイプのお客様の対応と混同しないよう、気をつけましょう。

わざわざ、問題を提起して意見を伝えてくれるということは、会社や店に対しての期待があるということです。
改善して欲しいからこそ伝えてくれる貴重な意見を大切にするようにしましょう。

このようなタイプのお客様へは、まずお話をしっかりとお伺いすることが大切です。
最後までしっかりとご意見をお伺いしたところで、どのようにすればご納得いただけるかをお聞きします。
双方で納得のいく落とし所を見つけて丁寧に対処することが大切です。

特別扱いタイプ

お客様というのは、少なくともみんな、特別扱いをされたいと感じていることが多いです。
しかし、中には自分だけさらに特別扱いをして欲しいという欲求を怒りとして伝えてくる場合があります。

例えば、通常やっていないサービスを求めてきたり、
いつも来ているんだからと常連ゆえに特別扱いを求めてきたりします。

このような場合で大切なのは、特別扱いをしたとしても限定して行うということです。

このパターンのお客様は、一度特別扱いがまかり通ると、リクエストがどんどんエスカレートする可能性があります。
そのようなことを避けるために、また、他のお客様との公平性を保つためにも「今回限りとなります」
「これは対応しますが、こちらはお引き受けできません」など
限定的に引き受ける必要があります。

特別扱いして欲しいというお客様のご希望を軽く流してしまったり、話をしっかりと聞かなかったりすると、
怒りをさらに助長させてしまうので気をつけましょう。



いかがでしたか。
お客様の怒りに対処するためには、お客様の心情を理解し、怒りのパターンを理解しておくことが大切です。

どのようなお怒りでも、

  • 話を丁寧にしっかりと聞く
  • 最初の対応をしっかりとする

ことが非常に大切です。

お客様のイライラの感情に振り回されないよう、事前にしっかりと学んで対処法を身につけておくように心がけましょう。

以上で職場におけるアンガーバランスマネジメントのセクションは終了です。

職場でイライラしてしまうと、仕事のパフォーマンスにも大きく影響を与えますので、
アンガーバランスマネジメントの知識をうまく取り入れることで、
イライラに振り回されないように気をつけていきましょう。