
前回までのLesson8では、職場のアンガーバランスマネジメントについて、事例を交えて学びました。
今回からのLesson9では、教育現場での怒りをコントロールする方法を解説していきます。
教育現場でのアンガーバランスマネジメントは、子どもの周辺だけでなく、親や教師同士など、様々な場面で役立つ、非常に重要な項目です。
教育現場だけでなく、日常生活で活かせる方法もあるので、しっかりと学んでいきましょう。
ではまず、教育現場にアンガーバランスマネジメントが必要な理由から説明します。
小学生の暴力行為が増加中
平成27年度に全国の小学校で発生した暴力行為件数は、17,137件(前年度比5665件増)で、過去最多を更新していることから分かるように、小学生による校内暴力が増えてきているという現状があります。
現在、学校現場では、すぐにキレたり、物を壊したり、攻撃するなどといった問題行動が多く発生するようになっており、大人である教師に対しても、暴言や暴力を振るう子どもが多く見受けられるようになってきました。
このように、近年の学校事情は非常に深刻な状況であることが伺えます。
一時の怒りの感情で失うものは大きい

子どもの問題行動だけでなく、保護者のクレームや、上司のパワハラ、セクハラなども問題になっています。
また、教師も児童たちに向かって怒る場面もありますが、感情的に怒ることは、後々の後悔に繋がってしまいます。
これらの複数の理由から、怒りの感情をコントロールすることは教育現場においても大切で重要視されているのです。
だからといって、イライラした気持ちを抑えつづけると、心だけでなく体調を崩す原因にもなりえます。
教師は、子どもたちだけでなく、その周りの保護者や上司、部下など、様々な人と関わる仕事であり、他の仕事と比較してもイライラを抱えやすい傾向にあるでしょう。
さらに、子どもの未来を担うという観点から考えても責任の大きい仕事だと言えます。
そんな状況の中でいかに怒りの感情をうまくコントロールし、抑えられるかが教師にとっても非常に大切なポイントなのです。
上手に怒れるかどうかが肝

教師は、ストレスや怒りの感情と上手く付き合いながら、
子どもや保護者の感情や価値観に真剣に向き合い、
信頼関係を築きながらクラスをつくっていかねばなりません。
その為には、自分の感情コントロールはもちろんのこと、目の前の相手の怒りやイライラに向き合うスキルが必要になります。
アンガーバランス・マネジメントは、「怒るべきときは、相手に伝わるように上手に怒る」スキルです。
学級運営をしていく上で、このスキルは非常に重要だと言えます。
教師自身が怒りの感情をコントロールするだけでなく、子どもたちに対して上手に褒めたり叱ることができないと、学級崩壊するリスクが高まることになります。
快適な学級運営ができるかどうかは、教師の指導が大きく影響してくるのです。
このように、教育現場においても非常に大切だと言えるアンガーバランス・マネジメントですが、具体的にはどのように実践することが大切なのでしょうか。
次のページからは、子どもたちを怒るルールをはじめ、具体的な実践方法を解説していきます。引き続き知識を深めていきましょう。