
前回は、怒る際の4つのルールを学びました。
今回からは、実際の教育現場の事例を用いて解説していきます。
今回は子ども同士のイライラや怒りへの対処法について考えてみましょう。
子どもたちは、怒りの感情を上手にコントロールする方法を知りません。
そのため、時には手が出てしまうこともあります。
思わず手が出てしまったときの事例をもとに、学んでいきましょう。
気にくわないとすぐ手が出る
たとえば、サッカーをしていたときに、ゴールを決めた子に対して、
「本当は僕が蹴るはずだったのに!」と、つい暴力を振るってしまうケースです。
「本当は自分が蹴って、ゴールを決め活躍したかったのに」という、嫉妬の気持ちから相手を攻撃してしまいました。
このように子どもたちは、感情を上手くコントロールできないために、つい手がでてしまうのです。
しかし、一度カッとなって手を出してしまったら、その後の人間関係に悪い影響を与えてしまうことがあります。
今まで一緒に楽しく遊んでいたのに、そのトラブルがきっかけで友人関係にヒビが入ったり、周囲から怖がられて孤立してしまう恐れもあります。
「カウントバック」で怒りを静める

こんな時は怒りのピークは6秒とされていることを活用してみましょう。
この6秒の間に言い返したり、攻撃的な言葉や行動を起こさず、じっと我慢することが大切です。
6秒間耐えるために有効なのが「カウントバック」という方法です。
低学年の場合は「1、2、3・・・」とゆっくり6秒を数えます。
高学年の場合だと「60、57、54・・・」といったように、3ずつ引いていくなど6秒数えるのを複雑に工夫すると良いでしょう。
複雑になればなるほど、怒りの感情にとらわれないようになります。
このカウントバックを、日常的にクラス全体で練習しておくのもいいですよ。
すぐ悪口や暴言を言ってしまう

子どもたちはすぐに悪口や暴言を吐いてしまう傾向にあります。
次はこのケースについて説明していきます。
悪口や暴言を言ってしまう子どもは、実は、自分が悪いことをしていることに気がついています。
しかし、一度言ってしまったものだから、
後に引くことができず、謝れない
↓
相手と距離が生まれる
↓
もっと強い悪口をいって、気を引こうとする
↓
さらに相手や周囲と距離が生まれてしまう
という悪循環に陥っています。
このように悪口を言ってしまう子どもは、周囲との距離が段々大きくなり、やがて孤立してしまいます。
誰にもかまって貰えなくなると、その子の不満はどんどん膨らみ、
暴言や悪口が止まらなくなったり、担任にも反抗的になってしまうのです。
このように誰かを傷つけて孤立してしまう原因は、
主観でしか物事を捉えられず、他者から見た自分を把握できないためです。
そこで、自分を客観的に見るために「ファーストインプレッション」という手法が有効になってきます。詳しく解説していきましょう。
「ファーストインプレッション」で他者から見た第一印象を知れる

ファーストインプレッションは、二人一組で、お互いの第一印象を書くゲームです。
互いの第一印象を伝え合うことで、自分の印象を客観的に見る姿勢が身につきます。学級開きのときに行うと、その後の学級運営を円滑に進められるのでおすすめの手法です。
「ファーストインプレッション」は相手への先入観を改め、新しい気持ちで関わっていくために非常に有効な方法です。
「自分を客観的に見る」姿勢も養うことができるため、悪口を言ってしまったりする行動を抑えるきっかけになるかもしれません。