前回は、怒りには身を守る役割もあることを学びました。
では、そもそも怒りにはどんな性質があるのでしょうか。
今回は怒りの性質3つを学んでいきましょう。
- 立場の強い人から弱い人へ向きやすい
- 感染しやすい
- 相手が身近だと余計に大きくなる
怒りの性質にはこのようなものがあります。
では、それぞれ細かく見ていきましょう。

【怒りの性質①】立場の強い人から弱い人へ向きやすい
具体的な例として理不尽なクレーマーが挙げられます。
詳しく見ていきましょう。
理不尽なクレーマー
例えばお店でいうと、店員が客の怒りのはけ口になるケースがあります。
理不尽なクレーマーは良い例です。
ケーキ屋さんで「てんぷらは売ってないの?」と怒るのはおかしいですよね。
このように「客」「店員」の肩書がなければお互い一人の人間ですが、肩書を都合よく勘違いした客は、店員に理不尽な要求をすることがあるのです。
イライラの感情のはけ口
「下の立場の人は怒られても言い返しにくい」という状況をいいことに、
イライラの感情をぶつけるはけ口になるケースは多く見られます。
このように、怒りは立場の強い人から弱い人へ向きやすい性質があります。
上の立場の人は肩書を取っ払って、合理的な指摘になっているか確かめることが大切です。
【怒りの性質②】感染しやすい

日常生活を脅かす危険があると、生き物は現状を守るために怒るのです。
また集団で生活する生き物の場合は、その集団で危険から身を守る必要があります。
怒りの性質が感染しやすいというのは、このような集団生活をする生き物の場合です。
ではまず、生き物が身を守るために怒るしくみから見ていきましょう。
身を守るための怒り
怒りの感情が必要だというのは、生物全般に当てはまります。
なぜなら、身を守るために必要だからです。
例えばシカの縄張りに、クマが入ってきたとしましょう。クマが入ってきた瞬間、シカは怒りの感情を抱きます。
なぜかというと
- 「襲われるかもしれない」
- 「餌を食べられるかもしれない」
- 「死ぬかもしれない」
- 「こどもが襲われてしまうかもしれない」
上記のような、危険に対する恐れがあるからです。
力関係はシカよりクマのほうが上なので、シカは命を守ろうと必死で思考をめぐらせます。
命が危うい状況で、能天気に餌を食べているシカを想像できませんよね。
このように怒りの感情は、自分を守るために必要不可欠なのです。
怒りの感情が移りやすい理由
先ほどのシカとクマの例で考えてみましょう。シカ4頭家族の縄張りで、お父さんシカがクマと1対1で対立しているとき、他のシカたちはその場で呑気に遊んだり、昼寝をすることはないですよね。
おそらく縄張りの侵入者に関心と危機をもち、緊張状態になるはずです。
このように集団で生き残るために、怒りの感情は周りに伝染しやすい特性があります。
変化や刺激が怒りを作りだす
平和な日常に変化や刺激があると、生き物は今の現状を守ろうとします。
現状維持のためには、最悪な事態を想定し慎重になります。これが、怒りを作り出す仕組みです。
そして集団でその変化や刺激に立ち向かっていくので、怒りの感情は周りに移りやすくなっているのです。
【怒りの性質③】相手が身近だと余計に大きくなる

なぜ怒りは身近な相手だと大きくなるのかというと、以下の3つの心理が生じるためです。
- 期待が大きい
- 信頼と甘え
- 自分の価値観の押しつけ
ではこの3つの心理について、詳しく見ていきましょう。
期待が大きい
身近な人に怒ってしまう原因は、自分のことをよく知っていて信頼しているからこそ、何とかしてくれるという期待が大きいためです。
つまり「~すべき」というハードルが、他者に比べ身近な人に対しては高いのです。
信頼と甘え
身近な人ほど、お互いの性格に理解があるので「何を言っても怒らないだろう」と思い、ついつい怒りすぎてしまいます。これは信頼と甘えの履き違えです。
互いの性格に理解があるからこそ、相手に思いやりをもつことが大切です。
自分の価値観の押しつけ
また物理的に距離が近い人には、親近感や信頼の感情を抱きやすいです。
それは反面、近い人だからこそ思い入れが深くなることもあります。
つまり、自分の価値観に相手をあてはめたくなってしまうのです。
身近な人だからこそ、自分のルールにあてはめず尊重することを忘れないようにしたいですね。
では次のページでは、前向きな怒りの形を学んでいきましょう。