前回は、ネガティブな感情は伝染しやすい特性があるため、
怒りの感情を客観的にコントロールすることの大切さを学びました。
怒りはネガティブなものだと捉えがちですが、見方を変えればポジティブに捉えることができます。
ポジティブに捉えられる怒りとは、目標達成のための怒りと、自己成長のエネルギーになる怒りのことを指します。
ポジティブな怒りの説明の前に、まずはネガティブな怒りによる弊害について学んでいきましょう。

【ネガティブな怒り】衝動的な怒り
ネガティブな怒りによる弊害には様々なものがありますが、代表的なものとして「衝動的な怒りによる信頼の喪失」があります。
ではどのような場面で「衝動的な怒り」により信頼を失ってしまうのでしょうか。
2つの場面の例を挙げますので、詳しく見ていきましょう。
部下と上司の例
例えば部下の仕事が遅く、上司はイライラしているとしましょう。
そこで上司は部下に
「なんでそんなに仕事遅いの?もう少し早くできないの?まだこんなに仕事残ってるんだよ?」
と、イライラの感情だけをぶつけると、部下は否定された気分になり仕事の意欲が低下します。
それだけでなく、上司への信頼も薄れていくでしょう。
夫婦の例
もう一つの例を見てみましょう。毎日夫の脱いだ靴下がリビングに落ちていることにイライラしている妻がいると仮定します。
妻は夫に対し
「どうして靴下をそのまま脱ぎっぱなしにするの?毎日毎日大変なのよ!そういえば最近帰りが遅いじゃない!何してるの?携帯見せて!」
と、最初は些細なことを指摘しただけだったのに、
冷静さを失い相手に感情をぶつけてしまうケースです。
やはり夫側からしたらこのような問い詰め方は良い気分ではないですよね。
このように衝動的な怒りは相手の気分を害するだけでなく、自分自身の信頼をも失ってしまいます。
衝動的な怒りは信頼を失う
2つのケースに共通しているのは、冷静さを失い感情的に怒っていることです。その結果、相手の気分を害するだけでなく、社会的信頼を失うことにつながります。
つまり職場や夫婦間のような組織・関係性において、
イライラしてしまう場合には、まず自分を客観的にみて冷静に感情をコントロールすることが大切です。
感情をコントロールすることで、怒りをポジティブな方向に変えることが可能になるのです。
【ポジティブな怒り①】目的達成のために怒る

目標達成のための怒りの話をする前に、まず、怒りに囚われている人には足りない視点があります。
それは、「怒りはその組織の目的達成において必要か」という視点です。
そもそも会社に属する理由は、その会社の理念に共感しているからですよね。
つまり社員はみな共通して達成したい目的があるから、その会社に属しています。
すなわち怒るときには、「指摘や褒める方法が、達成したい目的のためになっているか」という視点が大切です。
怒ることで目的達成につながるのであれば、それはポジティブに捉えても問題ありません。
この怒りが次に繋げるための役割を果たすんだと考えて、しっかりと怒りましょう。
しかし、その際には伝える言葉や態度1つで、受け手にとっての印象が全く異なることを頭に入れておくことが大切です。
伝え方1つで印象は異なる
上司が部下に指導するとき
- 淡々と話す
- 甘え口調で話す
- 衝動的に怒る
- 丁寧に物腰柔らかに説明する
上記をみても分かるように、伝え方1つでも相手が受ける印象は全く異なります。
様々な言い方を駆使し、伝わり方を想像しながらコミュニケーションをとりましょう。
このように、目先の衝動に左右されず客観的に自らの言動を顧み、
修正していくことで社会では目的達成に繋がります。
【ポジティブな怒り②】自己成長のエネルギーになる怒り

怒りは捉え方を変えれば、自分が成長するために利用することができます。
では、どのように捉え方を変えれば、ポジティブな怒りになるか見ていきましょう。
自分が変わるための怒り
まず自分自身が変わろうとせず、他者だけを変えようとして怒ると上手くいかなくなります。
なぜなら他者の感情は他者のものだからです。
そのため、怒りを「自分が変わるエネルギー」として使うことがポジティブな方法です。
すなわち怒りはプラスのエネルギーになり得るのです。
エネルギーになる怒り
たとえばスポーツ選手が、試合で自己ベストを更新するのはよくあることです。その時競っていた相手に対し、闘争心という怒りに近い感情をもつことで、
高いパフォーマンスが発揮できるのです。
このように自らが成長するために抱く怒りは、プラスのエネルギーに転じることがあります。
まとめ
怒りを他者に感情的にぶつけるのではなく、自分や組織の目的達成のために冷静に扱うことが大切です。
また、もし感情的に怒ってしまったとしても落ち込まず
「次同じことがあったらどう改善するか」に視点を向け
客観的に分析することで、怒りをマネジメントする力がついていくでしょう。
そして自らが成長するための怒りは、大きければ大きいほど高いパフォーマンスに繋がります。
怒りはとらえ方を変えると、ポジティブなエネルギーになり得るので、
しっかりと転換させてうなく活用していきましょう。